結論
営業秘密は、社内で秘密として管理され、公然と知られていない有用な情報を守る制度です。限定提供データは、IDやパスワードなどで管理しながら特定の相手に提供する大量のデータを守る制度で、秘密であることは要件ではありません。
比較表
| 観点 | 営業秘密 | 限定提供データ |
|---|---|---|
| 定義の条文 | 不正競争防止法2条6項 | 不正競争防止法2条7項 |
| 守る情報のイメージ | 社内で秘密にしておく情報 | 特定の相手と共有して使ってもらうデータ |
| 3つの要件 | 秘密管理性、有用性、非公知性 | 限定提供性、相当蓄積性、電磁的管理性 |
| 公然と知られていないこと | 必要 | 不要(ただし、無償で公衆に利用可能な情報と同じデータは対象外) |
| 情報の形式 | 紙でも電子データでもよい | 電磁的方法で蓄積・管理されたデータに限る |
| 例 | 製造ノウハウ、顧客名簿、未公開のソースコード | 会員企業に有償で提供する気象データや機械の稼働データ |
| 不正な取得・開示が介在した情報を後から取得した者 | 介在を知っていたか、重大な過失で知らなかったときに責任を負う | 介在を知っていたときに限り責任を負う |
| 民事上の措置(差止・損害賠償) | あり | あり |
| 刑事罰 | あり(営業秘密侵害罪、21条) | なし |
| 経済産業省の指針 | 営業秘密管理指針(2025年3月改訂) | 限定提供データに関する指針(2024年2月改訂) |
| シラバス項目 | 法律・倫理分野 項目4 不正競争防止法 | 法律・倫理分野 項目4 不正競争防止法 |
それぞれの説明
営業秘密
営業秘密は、会社が社内で秘密にしている有用な情報を守る制度です。製造ノウハウ、顧客名簿、未公開のソースコードなどが典型例です。保護されるには、秘密管理性、有用性、非公知性の3つをすべて満たす必要があります。
争いになりやすいのは秘密管理性です。経済産業省の営業秘密管理指針は、秘密として管理する意思をアクセス制限や「秘」の表示などの措置で示し、従業員などがその意思を認識できる状態にすることが必要だとしています。社内の誰でも自由に見られる情報は、秘密管理性が認められにくくなります。
不正に取得・使用・開示された場合は、差止請求や損害賠償請求ができます。悪質な行為には、営業秘密侵害罪として刑事罰もあります。
限定提供データ
限定提供データは、2018年の改正で設けられ、2019年から施行されている制度です。会員企業に有償でデータを提供するビジネスのように、他社と共有することで価値を生むデータを守ります。秘密にしないデータは営業秘密として守れないため、その隙間を埋める役割があります。
要件は、業として特定の者に提供すること(限定提供性)、電磁的方法で相当量蓄積されていること(相当蓄積性)、IDやパスワードなどで管理されていること(電磁的管理性)の3つです。誰でも無償で使えるオープンなデータと同じものは、保護の対象から外れます。
2023年の改正で、定義から除かれるものが「秘密として管理されているもの」から「営業秘密」に改められました。秘密として管理していても営業秘密の要件を満たさないデータは、限定提供データとして守られる余地ができました。保護は差止請求などの民事上の措置に限られ、刑事罰はありません。
見分けるコツ
- 秘密にしておく情報か、相手を限って共有するデータかで分けます。前者が営業秘密、後者が限定提供データです。
- 要件を入れ替えた選択肢に注意します。秘密管理性と非公知性は営業秘密の要件で、限定提供データの要件ではありません。
- 刑事罰があるのは営業秘密の侵害だけです。限定提供データには、差止請求や損害賠償請求などの民事上の措置が用意されています。
◯×チェック
-
紙の台帳だけで管理している取引先データでも、特定の相手に提供していれば限定提供データとして保護される。
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答え × 誤り
限定提供データは、電磁的方法で相当量蓄積され、管理されている情報に限られます(2条7項)。紙の台帳は対象外です。秘密として管理していれば、営業秘密として保護される余地はあります。
-
会員企業にIDとパスワードを発行して有償で提供している工作機械の稼働データは、複数の会員に共有されているため、不正競争防止法では保護されない。
答えを見る
答え × 誤り
特定の者に提供し、電磁的に管理された相当量のデータは、限定提供データとして保護される可能性があります。限定提供データには非公知性が求められないため、共有されていることは妨げになりません。
-
営業秘密の不正な取得や使用は一定の場合に刑事罰の対象となるが、限定提供データの不正な取得や使用には刑事罰が設けられていない。
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答え ◯ 正しい
営業秘密の侵害には営業秘密侵害罪があります(21条)。限定提供データは、差止請求や損害賠償請求などの民事上の措置で保護されます。
関連問題
問題の一覧(2問)
出典と作成について
作成:ウカトレ編集部(AIで作成し、別のAIが一次資料と照合。手順は編集方針)
公開日: 最終更新日: 最終確認日:
法令・ガイドライン等は2026年10月30日時点の内容にもとづきます。
対応シラバス:シラバス第1.4版 法律・倫理4
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版(法律・倫理分野 項目4 不正競争防止法)2026年10月30日閲覧
- 不正競争防止法(e-Gov法令検索)(2条1項4号〜16号、2条6項・7項、3条、4条、19条1項9号、21条)2026年10月30日閲覧
- 経済産業省「営業秘密管理指針」(2025年3月改訂)2026年10月30日閲覧
- 経済産業省「限定提供データに関する指針」(2024年2月改訂)(経済産業省 知的財産政策室「不正競争防止法」のページに掲載)2026年10月30日閲覧
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