結論
Q学習は、次の状態で最も価値の高い行動のQ値を使って更新する方策オフ型の手法で、最善の行動をとり続ける方策の価値を学びます。SARSAは、次の状態で実際に選んだ行動のQ値を使って更新する方策オン型の手法で、探索も含めていま従っている方策の価値を学びます。
比較表
| 観点 | Q学習 | SARSA |
|---|---|---|
| 更新の目標 | r + γ × max_a' Q(s', a')(次の状態で最大のQ値) | r + γ × Q(s', a')(a'は次に実際に選ぶ行動) |
| 分類 | 方策オフ型 | 方策オン型 |
| 学ぶ価値 | 最も価値の高い行動をとり続ける方策(最適方策)の価値 | 探索を含め、いま行動を選んでいる方策の価値 |
| 更新に必要な情報 | s、a、r、s' | s、a、r、s'、a'(名前の由来) |
| 崖沿いの迷路での振る舞い(ε-greedyで探索を続けた場合) | 崖沿いの最短経路を学ぶが、探索中にときどき崖へ落ちる | 落ちる危険を価値に織り込み、崖から離れた安全な経路を選ぶ |
| 共通点 | 行動価値(Q値)を学ぶ価値ベースの手法。環境の遷移確率を知らなくても使えるモデルフリーの手法 | 行動価値(Q値)を学ぶ価値ベースの手法。環境の遷移確率を知らなくても使えるモデルフリーの手法 |
| 提案 | ワトキンス(1989年) | ラマリーとニランジャン(1994年) |
| シラバス項目 | 技術分野 項目9 強化学習 | 技術分野 項目9 強化学習 |
それぞれの説明
Q学習とSARSAは、どちらも状態と行動の組の価値(Q値)を、試行錯誤で得た報酬から学ぶ強化学習の手法です。更新式の違いは1か所だけですが、学ぶ価値が変わります。
Q学習
Q学習は、1989年にワトキンスが提案しました。状態sで行動aをとり、報酬rと次の状態s'を受け取ったら、次の式で更新します。αは学習率、γは割引率です。
Q(s, a) ← Q(s, a) + α × (r + γ × max_a' Q(s', a') − Q(s, a))
目標には、次の状態で最も価値の高い行動のQ値を使います。学習中はε-greedy方策で無作為な行動も試しますが、更新は「次からは最善の行動をとる」前提で行います。行動を選ぶ方策と、価値を学ぶ方策が異なるので、方策オフ型と呼びます。
この性質のため、過去にためた経験を後から学習に使い回す経験再生と組み合わせやすくなります。DQNは、Q値をニューラルネットワークで近似し、経験再生を使ってQ学習を行いました。
SARSA
SARSAは、1994年にラマリーとニランジャンが提案しました。次の状態s'で、方策に従って次の行動a'を実際に選んでから更新します。
Q(s, a) ← Q(s, a) + α × (r + γ × Q(s', a') − Q(s, a))
探索で選んだ行動も目標に反映されるため、いま従っている方策そのものの価値を学びます。これを方策オン型と呼びます。名前は、更新に使うState、Action、Reward、State、Actionの頭文字です。
結果の違い
サットンとバートの教科書には、崖沿いの道を進む迷路の例があります。ε-greedyで探索を続けると、Q学習は崖沿いの最短経路の価値を学びますが、探索中にときどき崖へ落ちます。SARSAは落ちる危険も価値に織り込み、崖から離れた安全な経路を選びます。探索の度合いを徐々に小さくしていけば、どちらも最適な方策に近づきます。
見分けるコツ
- 更新式に「max」があればQ学習、次に選んだ行動a'のQ値をそのまま使っていればSARSAです。
- 「実際に選んだ行動の価値で更新するのは方策オン型のSARSA」「最大の価値で更新するのは方策オフ型のQ学習」と対で覚えます。2つを入れ替えた説明に注意します。
- 崖沿いの迷路の例は、「Q学習は近いが危ない道、SARSAは遠回りだが安全な道」と覚えます。
◯×チェック
-
ε-greedy方策のεを0にして、常にQ値が最大の行動を選ぶようにすると、SARSAの更新の目標はQ学習と同じになる。
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答え ◯ 正しい
次に選ぶ行動a'がQ値の最大の行動になるので、Q(s', a')がmax Q(s', a')と一致します。2つの違いは、探索で最善でない行動を選んだときに表れます。
-
Q学習では、更新の目標を計算する前に、次の状態で実際にどの行動を選ぶかを決めておく必要がある。
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答え × 誤り
Q学習の目標は、次の状態のQ値の最大値で決まり、次に実際に選ぶ行動には左右されません。次の行動a'を選んでからでないと更新できないのはSARSAです。
-
崖に落ちると大きな負の報酬を受ける迷路でε-greedy方策を使い続けると、SARSAは、探索で足を踏み外す危険も価値に織り込むため、崖から離れた経路を学びやすい。
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答え ◯ 正しい
SARSAは、探索による失敗も含めた、いまの方策の価値を学ぶからです。Q学習は最短経路の価値を学びますが、学習中は探索でときどき崖へ落ちます。
関連問題
問題の一覧(2問)
出典と作成について
作成:ウカトレ編集部(AIで作成し、別のAIが一次資料と照合。手順は編集方針)
公開日: 最終更新日: 最終確認日:
対応シラバス:シラバス第1.4版 技術9
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版(技術分野 項目9 強化学習)2026年10月30日閲覧
- Richard S. Sutton, Andrew G. Barto, Reinforcement Learning: An Introduction, 2nd ed. (2018)(6.4 Sarsa: On-policy TD Control / 6.5 Q-learning: Off-policy TD Control(Example 6.6 Cliff Walking))2026年10月30日閲覧
- Christopher J. C. H. Watkins, Peter Dayan, Q-learning, Machine Learning 8(3–4), 279–292 (1992)2026年10月30日閲覧
- G. A. Rummery, M. Niranjan, On-line Q-learning using connectionist systems, Technical Report CUED/F-INFENG/TR 166, Engineering Department, Cambridge University (1994)2026年10月30日閲覧
- Volodymyr Mnih et al., Human-level control through deep reinforcement learning, Nature 518, 529–533 (2015)2026年10月30日閲覧
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