AIに必要な数理・統計知識(G検定 技術分野)

平均・分散、確率分布、相関、検定、距離など、計算問題の土台になる知識を扱います。

概要

この分野で扱うこと

機械学習の多くの手法を下支えしている、統計と確率の基礎を扱う分野です。中項目は「AIに必要な数理・統計知識」の1つだけで、キーワードは29語あります。このページでは、当サイトが独自に5つのまとまりに分けて整理しています(シラバスにある区分ではありません)。

まとまり主なキーワード機械学習でのつながり
記述統計平均、中央値、分散、標準偏差データの前処理、外れ値の確認
確率条件付き確率、期待値、正規分布分類の出力を確率として扱う
相関相関係数、疑似相関、相互情報量特徴量の選択、因果の見誤り
推定・検定最小二乗法、最尤法、帰無仮説線形回帰、誤差関数の考え方、A/Bテストの判定
距離ユークリッド距離、コサイン類似度k-means法、単語の意味の近さ

学ぶ順番

上の表の順に進めます。分散と標準偏差は、相関係数やマハラノビス距離の計算にも出てくるため、最初に固めておくと後が楽になります。確率では、条件付き確率と期待値を自分の手で1回ずつ計算してみます。

つまずきやすいところ

計算問題があるため、苦手意識を持たれやすい分野です。ただ、扱う計算の多くは、四則演算と2乗・平方根で済みます。式を丸暗記するより、「何を表す値か」を言葉で説明できることを優先すると、計算の手順も覚えやすくなります。たとえば標準偏差は「平均からのばらつきを、元のデータと同じ単位で表した値」です。用語の取り違えでは、相関と因果の混同が特に起こりがちです。

学習目標

データの代表値とばらつき、確率と確率分布、2つの変数の関係、データからのパラメータの推定と仮説検定、データどうしの距離や類似度について、それぞれが何を表し機械学習のどこで使われるかを理解し、簡単な数値例で計算や判断ができるようにします。

要点

記述統計:データの姿をつかむ

  • 平均・中央値・最頻値:データの中心を表す値です。平均は合計÷件数、中央値は小さい順に並べた真ん中の値、最頻値は最も多く現れる値です。
  • 外れ値:ほかから大きく離れた値です。平均は引っ張られますが、中央値はほとんど動きません。
  • 分散・標準偏差:分散は平均との差を2乗して平均した値、標準偏差はその平方根です。3、3、7、7なら平均5、分散は (4+4+4+4)÷4 = 4、標準偏差は2です。
  • 度数分布:値の区間ごとに件数を数えた表です。区間を横軸、件数を柱の高さにしたグラフをヒストグラムといいます。
  • 移動平均:直近の数個の平均を1つずつずらして求め、時系列の細かな上下をならします。

確率:起こりやすさを数で表す

確率変数は、サイコロの目のように確率で値が決まる変数で、値と確率の対応を確率分布といいます。期待値は「値×確率」の合計で、サイコロなら3.5です。条件付き確率 P(A|B) = P(AかつB) ÷ P(B) は、Bが起きたときにAが起きる確率で、迷惑メールの判定などに使われます。身長のような連続値では、確率密度関数のグラフの下の面積で確率を表します。

分布表す場面
ベルヌーイ分布合格か不合格かのような、結果が2通りの試行1回
二項分布その試行をn回繰り返したときの成功回数
ポアソン分布1時間の来店数のような、一定の時間や範囲に起こる事象の回数
正規分布平均を中心に左右対称の釣り鐘形

相関:2つの変数の関係

  • 共分散:2つの変数が同じ向きに動くかを表しますが、単位で大きさが変わります。
  • 相関係数:共分散を2つの変数の標準偏差の積で割り、-1から1に収めた値です。
  • 疑似相関:アイスの売上と水難事故のように、気温という第3の要因で生じる見かけの相関です。
  • 偏相関係数:第3の変数の影響を除いた相関で、疑似相関の確認に使います。
  • 相互情報量:一方を知ると他方の不確かさがどれだけ減るかを表します。

推定・検定:データから結論を出す

最小二乗法は、予測と実測の差の2乗の合計が最小になるようにパラメータを決める方法で、線形回帰の基本です。最尤法は、手元のデータが得られる確率(尤度)が最大になるパラメータを選びます。分類で交差エントロピーを小さくする学習は、最尤法にあたります。仮説検定では、否定したい帰無仮説(新薬に効果はない)と、示したい対立仮説(効果がある)を立て、帰無仮説のもとでは起こりにくい結果が出たときに帰無仮説を棄却します。

距離:データどうしの近さ

  • ユークリッド距離:2点を結ぶ直線の長さです。(0, 0)と(3, 4)なら5です。
  • マハラノビス距離:データのばらつきと相関を考慮した距離で、異常検知に使われます。
  • コサイン類似度:ベクトルの大きさを無視し、向きの近さを-1から1で表します。文書や単語の比較に使います。

G検定で問われる深さ

式の導出や証明、検定に使う数表の読み方までは不要です。平均・中央値・分散・標準偏差・期待値・条件付き確率を与えられた数値から計算でき、各確率分布がどんな場面を表すか、3つの距離・類似度がどう違うかを言えれば十分です。

つまずきやすい点

  • 確率密度は連続値の分布で使う値で、1点での値はそのまま確率ではなく、範囲をとって面積を求めたものが確率になる点
  • ベルヌーイ分布は結果が2通りの試行1回、二項分布はその試行をn回繰り返したときの成功回数、ポアソン分布は一定の時間や範囲に起こる事象の回数(まれな事象によく使う)を表す点
  • 相関係数は直線的な関係の強さだけを表し、U字形のような関係では0に近くなることがある。相互情報量は直線的でない関係も含めた依存の度合いをとらえる点
  • 帰無仮説は「差がない」「効果がない」とする仮説で、棄却できたときに対立仮説を採る。棄却できなくても、帰無仮説が正しいと示されたわけではない点

キーワードと練習問題

記述統計

移動平均、最頻値、中央値、度数分布、外れ値、標準偏差、平均、分散

確率・確率分布

確率分布、確率変数、確率密度、期待値、条件付き確率、正規分布、二項分布、ベルヌーイ分布、ポアソン分布

相関・関係の指標

疑似相関、共分散、相関係数、相互情報量、偏相関係数

推定・検定

帰無仮説、最小二乗法、最尤法、対立仮説

距離・類似度

コサイン類似度、マハラノビス距離、ユークリッド距離

混同しやすい用語

この分野の関連用語

出題の目安約6問

全145問のうち、約6問前後と当サイトで推計しています。幅をもたせると約4〜9問(全体の3〜6%)です。分野別の出題数は公表されていません。

全体の問題数「145問程度」の出典:JDLAのFAQ 最終確認日:2026年10月30日

AIで作成 人による確認:未 誤りを報告

出典と作成について

作成:ウカトレ編集部(AIで作成し、別のAIが一次資料と照合。手順は編集方針)

最終更新日: 最終確認日:

対応シラバス:シラバス第1.4版 技術37

キーワードと練習問題の分け方は当サイトの整理で、シラバスの区分ではありません。

出典

改訂履歴

すべての分野
  1. 人工知能とは
  2. 人工知能をめぐる動向
  3. 機械学習の概要
  4. ディープラーニングの概要
  5. ディープラーニングの要素技術
  6. ディープラーニングの応用例
  7. AIの社会実装に向けて
  8. AIに必要な数理・統計知識
  9. AIに関する法律と契約
  10. AI倫理・AIガバナンス

表示設定

テーマ
文字の大きさ
問題演習