著作権法(シラバス 法律・倫理2)

学習目標

著作権法がどのような表現を守り、著作権者にどんな権利を与えるかを理解し、AIの学習に著作物を使う場面(著作権法30条の4)と、AIで生成したものを使う場面とを分けて、著作権侵害に当たるかどうか、生成物が著作物として守られるかどうかを判断できるようにします。生成AIサービスの利用規約が何を決めているかも押さえます。

要点

著作物と著作権

著作物は、思想や感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するものです。押さえる点は2つです。

  • 表現であること:アイデア、作風、事実やデータそのものは守られません。
  • 創作性があること:ありふれた表現ではなく、作り手の個性が表れていることが必要です。高い芸術性までは求められません。

著作権は作品を作った時点で自動的に生まれ、登録などの手続は要りません。保護期間は原則として著作者の死後70年です。権利を制限する例外規定に当たらないのに、著作権者に無断で複製やネットへの公開などをすれば著作権侵害となり、差止めや損害賠償を求められ、刑事罰の対象にもなりえます。

2つの段階に分けて考える

文化審議会著作権分科会の法制度小委員会がまとめ、文化庁が公表した「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)は、AIと著作権の問題を次の2つの段階に分けて整理しています。

開発・学習段階生成・利用段階
主な行為学習データの収集や複製生成物の作成、公開、販売
中心になるルール著作権法30条の4通常の侵害の判断(類似性と依拠性)

学習段階:30条の4

30条の4は、作品を見たり聞いたりして楽しむ(享受する)ことを目的としない利用を、必要な限度で許諾なしに認める規定です。AIの学習のための情報解析は、その典型です。ただし、次の場合は使えません。

  • 享受目的が併存する場合:特定の作品の創作的な表現を、意図的に出力させるための追加学習など。
  • 著作権者の利益を不当に害する場合:情報解析に使いやすい形に整理して販売されているデータベースを、情報解析のために複製する場合など。

生成・利用段階:侵害と著作物性

生成物を公開や販売したとき、既存の著作物との類似性と依拠性が認められれば侵害になります。利用者がその作品を知らなくても、AIの学習データにその作品が含まれていれば、通常、依拠性があったと推認されます。

生成物が著作物になるかは、人の創作的な寄与があるかで判断します。考え方は、判断の要素として、指示や入力の分量と内容、生成の試行回数、複数の生成物からの選択を挙げています。ただし、試行回数が多いことや単に選んだことだけでは、創作的な寄与とはされません。表現に至らないアイデアを示すだけの指示は、長い指示でも寄与になりません。一方、人が創作的な加筆や修正をした部分は、通常、著作物になります。

利用規約

生成AIサービスの利用規約は、生成物の権利の扱い、商用利用の可否、入力したデータを学習に使うかどうかなどを定めています。業務で使う前に確認しますが、規約で使えるとされていても、第三者の権利を侵害しない保証にはなりません。

G検定で問われる深さ

支分権の一覧や保護期間の細かな例外までは不要です。30条の4の原則と例外、侵害の判断に使う類似性と依拠性、AI生成物が著作物になる条件を、文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」に沿って事例で判断できれば十分です。

つまずきやすい点

  • 30条の4は学習のための利用を広く認めるが、特定の作品の表現を出力させるための追加学習のように享受目的が併存する場合や、著作権者の利益を不当に害する場合は対象外になる点
  • 作風や画風が似ているだけでは著作権侵害にならず、侵害には既存の著作物の創作的な表現との類似性と、それに依拠したこと(依拠性)の両方が必要な点
  • AIへの指示が表現に至らないアイデアにとどまる生成物は著作物にならず、指示の具体性や修正を重ねた試行などから人の創作的な寄与が認められる場合に、著作物になりうる点
  • 生成AIサービスの利用規約で生成物の商用利用が認められていても、それはサービス事業者との約束にすぎず、第三者の著作権を侵害しない保証にはならない点

シラバスのキーワード

創作性、著作物、AI生成物、利用規約、著作権侵害、著作権

練習問題

  1. 著作権法30条の4の適用範囲
  2. AI生成物の著作物性
  3. 生成AI利用時の著作権侵害
  4. データとデータベースの著作物性
  5. 業務で作成したプログラムの著作者
  6. 著作権と著作者人格権の違い
ほかの5問
  1. 侵害時の差止と損害賠償の要件
  2. RAGでの著作物利用と権利制限
  3. 利用規約違反と著作権侵害の区別
  4. 生成AI利用と私的使用の範囲
  5. 生成AIの侵害の責任主体

混同しやすい用語

この項目の関連用語

AIで作成 人による確認:未 誤りを報告

出典と作成について

作成:ウカトレ編集部(AIで作成し、別のAIが一次資料と照合。手順は編集方針)

最終更新日: 最終確認日:

法令・ガイドライン等は2026年10月30日時点の内容にもとづきます。

対応シラバス:シラバス第1.4版 法律・倫理2

出典

改訂履歴

AIに関する法律と契約の中項目
  1. 個人情報保護法
  2. 著作権法
  3. 特許法
  4. 不正競争防止法
  5. 独占禁止法
  6. AI開発委託契約
  7. AIサービス提供契約

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