モデルの選択・評価(シラバス 技術10)
学習目標
学習に使っていないデータに対する性能(汎化性能)を見積もる検証方法と、分類・回帰の代表的な評価指標を理解し、訓練誤差と汎化誤差の違いを踏まえて、データの量やビジネス上の目的に合った検証方法・指標・モデルの複雑さを選べるようにします。
要点
汎化性能と過学習
モデルに求められるのは、学習に使っていない新しいデータでよく当たることです。この力を汎化性能と呼びます。学習データに対する誤差(訓練誤差)が小さくても、未知のデータに対する誤差(汎化誤差)が大きければ役に立ちません。学習データの細かなノイズまで覚え込み、訓練誤差だけが小さくなった状態が過学習です。
検証の方法
- ホールドアウト検証:データを学習用とテスト用に一度だけ分けて評価します。手軽ですが、分け方によって結果がぶれます。
- 交差検証:分け方を変えながら学習と評価を繰り返し、結果を平均します。
- k-分割交差検証:データをk個に分け、1つをテスト用、残りを学習用にする組み合わせをk通り試して平均します。データが少なくても、すべてのデータを評価に使えます。
分類の評価
混同行列は、実際の正例・負例と、予測の陽性・陰性の組み合わせを4つのマスに数えた表です。
- 真陽性(TP)・真陰性(TN):正例を陽性、負例を陰性と正しく予測したもの。
- 偽陽性(FP):負例を陽性と予測したもの(誤検知)。
- 偽陰性(FN):正例を陰性と予測したもの(見逃し)。
ここから次の指標を計算します。
- 正解率:
(TP + TN) ÷ 全件数 - 適合率:
TP ÷ (TP + FP)。陽性と予測したもののうち、本当に正例だった割合です。 - 再現率:
TP ÷ (TP + FN)。実際の正例のうち、陽性と予測できた割合です。 - F値:適合率と再現率の調和平均で、
2 × 適合率 × 再現率 ÷ (適合率 + 再現率)です。
病気の見逃しを避けたい検査では再現率を、正常なメールを迷惑メールと誤判定したくないフィルタでは適合率を重視します。
ROC曲線・AUC:判定のしきい値を動かしたときの偽陽性率(横軸)と真陽性率(縦軸)の関係を描いたのがROC曲線、その下側の面積がAUCです。1に近いほどよく、でたらめな予測では0.5前後になります。
回帰の評価
- 平均二乗誤差(MSE):予測と正解の差を2乗して平均した値です。大きく外れた予測に強く反応します。
- 二乗平均平方根誤差(RMSE):MSEの平方根です。予測対象と同じ単位で誤差の大きさを表せます。
- 平均絶対値誤差(MAE):差の絶対値の平均です。外れ値の影響をMSEやRMSEより受けにくい指標です。
モデルの複雑さと選択
パラメータを増やすと訓練誤差は下がりますが、過学習の危険が高まります。オッカムの剃刀は、同じくらい説明できるなら単純なほうを選ぶという考え方です。情報量規準はこれを数値にしたもので、値が小さいモデルほどよいと判断します。
- 赤池情報量規準(AIC):
-2 × 最大対数尤度 + 2 × パラメータ数 - ベイズ情報量規準(BIC):
-2 × 最大対数尤度 + log(データ数) × パラメータ数
BICはデータが多いほどパラメータへのペナルティが重くなります。データ数が8件以上ならAICより罰則が重く、単純なモデルを選びやすくなります。
G検定で問われる深さ
混同行列から正解率・適合率・再現率・F値を計算でき、どの場面でどの指標を重視するかを判断できることが中心です。AICとBICは、式の形と「小さいほどよい」「BICのほうが単純なモデルを選びやすい」まで押さえれば十分です。
つまずきやすい点
- 偽陽性は実際は負例なのに陽性と予測したもの、偽陰性は実際は正例なのに陰性と予測したもので、「真・偽」は予測が当たったか、「陽性・陰性」は予測の内容を表す点
- 適合率は正例と予測した件数を分母に、再現率は実際の正例の件数を分母にとる、という分母の取り違え
- 負例が大半のデータでは、すべて負例と予測するだけで正解率が高くなり、モデルのよさを正しく表さない点
- ROC曲線の横軸は偽陽性率、縦軸は真陽性率(再現率)であり、AUCはでたらめな予測で約0.5になる点
シラバスのキーワード
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練習問題
混同しやすい用語
出典と作成について
作成:ウカトレ編集部(AIで作成し、別のAIが一次資料と照合。手順は編集方針)
最終更新日: 最終確認日:
対応シラバス:シラバス第1.4版 技術10
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版(技術分野 項目10 モデルの選択・評価)2026年10月30日閲覧
- Hirotugu Akaike, A new look at the statistical model identification, IEEE Transactions on Automatic Control 19(6), 716–723 (1974)2026年10月30日閲覧
- Gideon Schwarz, Estimating the Dimension of a Model, The Annals of Statistics 6(2), 461–464 (1978)2026年10月30日閲覧
- Tom Fawcett, An introduction to ROC analysis, Pattern Recognition Letters 27(8), 861–874 (2006)2026年10月30日閲覧
- scikit-learn User Guide, Cross-validation: evaluating estimator performance2026年10月30日閲覧
- scikit-learn User Guide, Metrics and scoring: quantifying the quality of predictions2026年10月30日閲覧