データ拡張(シラバス 技術25)
1行の定義と◯×チェックは用語『データ拡張』の解説にあります。
学習目標
手元の学習データに変換を加えて種類を増やすデータ拡張の目的を理解し、画像の基本的な変換、一部を消す手法、2枚を混ぜる手法、変換を自動で選ぶ手法、文章向けの手法の違いを踏まえて、課題に合った方法を選べるようにします。
要点
データ拡張の目的
データ拡張は、学習データに意味を変えない範囲の変換を加えて、データの数と多様さを増やす手法です。写真を少し回転させても、猫は猫のままです。こうした変化を含むデータで学習すると、モデルは学習データの細部を丸暗記しにくくなり、過学習が抑えられて汎化性能が上がります。新しくデータを集めてラベルを付けるコストをかけずに済む点も利点です。
画像の基本的な変換
| まとまり | 手法 | 内容 |
|---|---|---|
| 位置・向き | Random Flip | ランダムに左右(または上下)を反転する |
| 位置・向き | Rotate | 角度を変えて回転する |
| 位置・向き | Crop | 画像の一部を切り出す |
| 色・明るさ | Brightness | 明るさを変える |
| 色・明るさ | Contrast | 明暗の差を変える |
どの変換が使えるかは課題によります。風景写真の上下反転は現実にない画像を作りますし、数字の6を大きく回転すると9に見えます。
一部を消す手法
- Cutout:画像のランダムな位置に、決まった大きさの正方形のマスクをかけ、画素を一定の値(0など)で塗りつぶします。
- Random Erasing:ランダムに選んだ長方形の領域を、ランダムな値で塗りつぶします。領域の大きさや縦横比も毎回変えます。
どちらも対象の一部が隠れた画像を作り、隠れに強いモデルにします。ラベルは元のままです。
2枚を混ぜる手法
- Mixup:2枚の画像を、画素ごとに一定の比率で重ね合わせます。ラベルも同じ比率で混ぜます。猫の画像を70%、犬の画像を30%で重ねたら、正解も「猫0.7、犬0.3」です。
- CutMix:一方の画像の一部を四角く切り取り、もう一方の画像の同じ位置に貼り付けます。ラベルは、貼り付けた部分の面積の比率で混ぜます。
変換を自動で選ぶRandAugment
変換の組み合わせを手作業で決めるのは手間がかかります。先行するAutoAugmentは、よい組み合わせを強化学習で探しましたが、探索に大きな計算コストがかかりました。RandAugmentは、変換の候補からN個をランダムに選び、すべてに共通の強さMで適用します。調整するのはNとMの2つだけなので、探索の手間が大きく減りました。
文章のデータ拡張
文章は少しの変更で意味が変わりやすいため、画像より慎重に扱います。
- paraphrasing:意味を保ったまま言い換えます。類義語への置き換えや、別の言語に翻訳してから元の言語に戻す逆翻訳が代表例です。
- noising:単語をランダムに削除・挿入・入れ替えたり、誤字を混ぜたりして、小さなノイズを加えます。音声に雑音を重ねるのも同じ考え方です。
「この店はおいしくない」から「ない」を消すと、感情のラベルが逆になります。どの手法でも、変換後に正解が変わらないかを確かめることが大切です。
G検定で問われる深さ
各手法が画像や文章とラベルをどう変えるかを説明でき、CutoutとRandom Erasing、MixupとCutMixを区別できれば十分です。変換の強さの設定値や、RandAugmentが候補とする変換の一覧までは覚える必要はありません。
つまずきやすい点
- Mixupは2枚の画像を全体で重ね合わせ、CutMixは一方の画像の一部を切り取ってもう一方に貼り付ける点。どちらもラベルを混ぜた比率に合わせて混ぜる
- Cutoutは決まった大きさの正方形を一定の値(0など)で塗りつぶし、Random Erasingは大きさや縦横比をランダムに変えた長方形をランダムな値で塗りつぶす点。どちらもラベルは変えない
- 変換によってラベルの意味が変わる場合がある点。数字の6を大きく回転すると9に見え、文章から否定の語を消すと感情が逆になる
- データ拡張は原則として学習データにだけ行い、評価には元の検証データやテストデータを使う点。分割する前に拡張すると、ほぼ同じデータが学習用と評価用の両方に入り、データリーケージになる
シラバスのキーワード
Contrast、Brightness、Crop、CutMix、Cutout、Mixup、noising、paraphrasing、RandAugment(シラバス表記:RandAugument)、Random Erasing、Random Flip、Rotate
練習問題
この項目の関連用語
出典と作成について
作成:ウカトレ編集部(AIで作成し、別のAIが一次資料と照合。手順は編集方針)
最終更新日: 最終確認日:
対応シラバス:シラバス第1.4版 技術25
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版(技術分野 項目25 データ拡張)2026年10月30日閲覧
- Terrance DeVries, Graham W. Taylor, Improved Regularization of Convolutional Neural Networks with Cutout (2017)2026年10月30日閲覧
- Zhun Zhong, Liang Zheng, Guoliang Kang, Shaozi Li, Yi Yang, Random Erasing Data Augmentation (2017)2026年10月30日閲覧
- Hongyi Zhang, Moustapha Cisse, Yann N. Dauphin, David Lopez-Paz, mixup: Beyond Empirical Risk Minimization (2017)2026年10月30日閲覧
- Sangdoo Yun et al., CutMix: Regularization Strategy to Train Strong Classifiers with Localizable Features (2019)2026年10月30日閲覧
- Ekin D. Cubuk, Barret Zoph, Jonathon Shlens, Quoc V. Le, RandAugment: Practical automated data augmentation with a reduced search space (2019)2026年10月30日閲覧
- Bohan Li, Yutai Hou, Wanxiang Che, Data Augmentation Approaches in Natural Language Processing: A Survey (2021)2026年10月30日閲覧