方策勾配法とは

ほうさくこうばいほうpolicy gradient method別名 方策勾配、ポリシー勾配法、policy gradient

1行定義

方策勾配法とは、行動の選び方(方策)をパラメータをもつ関数で表し、収益の期待値が大きくなるように、そのパラメータを勾配で直接更新する手法のことです。

くわしく

方策勾配法は、強化学習で「どう行動するか」という方策そのものを直接改善する手法の総称です。Q学習のように行動の価値を推定してから行動を決める価値ベースの手法に対して、方策ベースの手法と呼ばれます。

仕組み

方策を、パラメータθをもつ関数π(a|s, θ)で表します。たとえば、ニューラルネットワークに状態を入力し、各行動を選ぶ確率をソフトマックス関数で出力させます。目標は、収益の期待値J(θ)を大きくすることです。そこでJ(θ)の勾配を求め、その方向へパラメータを少しずつ動かします。

θ ← θ + α × ∇J(θ)

誤差を小さくする勾配降下法とは向きが逆で、目的関数を大きくする勾配上昇の形です。この勾配は、方策勾配定理により、実際に行動して得た経験から見積もれます。環境の状態遷移確率を知る必要はありません。直感的には、収益が大きかった行動ほど、その状態で選ばれる確率を上げる更新です。

利点

  • 行動が連続値でも扱える。方策を正規分布などで表し、その平均などを出力すればよい。
  • 複数の行動を決まった確率で出し分けるのが最善の課題でも、その確率をそのまま学べる。
  • 行動を選ぶ確率がパラメータに応じてなめらかに変わるため、価値ベースの手法より収束の理論的な保証を得やすい。

弱点

経験から見積もる勾配はばらつき(分散)が大きく、多くの試行が必要です。1回の更新で方策を大きく変えすぎると、性能が急に落ちることもあります。また、局所最適解にとどまることがあります。

代表的な手法

ウィリアムズが1992年の論文で示したREINFORCEが基本形です。価値関数で行動を評価してばらつきを抑えるのがActor-Criticで、深層強化学習のA3CやPPOにつながります。AlphaGoでは、人間の棋譜で学習した方策ネットワークを、自己対戦と方策勾配法でさらに強くしました。

覚え方

「価値を測ってから選ぶのではなく、選び方そのものを勾配で直す」と覚えます。

G検定での出題

価値関数を経由せずに方策を直接学ぶ方策ベースの手法である点、連続値の行動や確率的な方策を扱いやすい利点、更新のばらつきが大きい欠点、REINFORCE・Actor-Critic・PPOとの関係が問われます。

混同しやすい用語

用語意味
Q学習ある状態である行動をとったときの価値(Q値)を、試行錯誤で得た報酬をもとに更新して学ぶ、価値ベースの強化学習の手法

◯×チェック

  1. 方策勾配法は、収益の期待値を目的関数とし、その値が大きくなる方向へ方策のパラメータを動かす。

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    答え ◯ 正しい

    誤差を小さくする勾配降下法とは向きが逆で、目的関数を大きくする勾配上昇の形になります。よい結果につながった行動ほど選ばれやすくなります。

  2. 方策勾配法では、1回の更新で方策のパラメータを大きく動かすほど、学習が安定しやすい。

    答えを見る

    答え × 誤り

    方策が一度に大きく変わると、それまでの学習が崩れて性能が急に落ちることがあります。PPOやTRPOは、更新の幅を抑えて学習を安定させる手法です。

  3. 方策勾配法では、環境の状態遷移確率がわからなくても、実際に行動して得た経験から目的関数の勾配を見積もることができる。

    答えを見る

    答え ◯ 正しい

    方策勾配定理により、勾配は、方策の確率の微分と行動の評価(収益など)を掛けたものの期待値で表せます。状態の移り方を微分する必要がないため、試行で集めたデータから見積もれます。

練習問題

方策勾配法の問題(5問)
  1. 価値ベースと方策ベースの手法
  2. 実際の収益と推定値による更新
  3. 確率的方策と方策勾配法
  4. 連続値の行動を扱う手法選択
  5. PPOのクリップ付き目的関数

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