安全性とセキュリティ(シラバス 法律・倫理11)

学習目標

AIの安全性(人や財産に害を与えないこと)とセキュリティ(悪意ある攻撃から守ること)の違いを理解し、学習データ、モデル、推論時の入力のどこが狙われるかで主な攻撃を区別して、企画・設計の段階から組み込むべき対策を選べるようにします。

要点

安全性とセキュリティの違い

AI事業者ガイドラインは、「安全性」と「セキュリティ確保」を別々の指針として挙げています。

  • 安全性:AIの誤作動や想定外の使われ方で、人の生命・身体・財産、精神や環境に害が出ないようにすることです。悪意がなくても問題になります。
  • セキュリティ:悪意ある第三者の不正な操作から、AIシステムの機密性・完全性・可用性を守ることです。

自動運転車が逆光で標識を見落とすのは、安全性(さまざまな状況で性能を保つ堅牢性)の問題です。誰かが標識にシールを貼って誤認識させるのは、セキュリティの問題です。

AIならではの攻撃

AIには、従来のシステムへの攻撃に加えて、学習データやモデルそのものを狙う攻撃があります。

キーワード仕掛ける時期狙い例
データ汚染学習時判断を狂わせる自動収集される学習データに、誤ったラベルの画像を紛れ込ませる
モデル汚染開発時・配布時判断を狂わせる公開する事前学習済みモデルに、特定の目印でだけ誤動作するバックドアを仕込む
Adversarial Attack(Adversarial Examples)推論時判断を狂わせる人には気づけない小さなノイズを画像に加え、別のものと誤分類させる
モデル窃取推論時モデルを盗むAPIに大量に問い合わせ、入力と出力の組から複製モデルを作る
データ窃取推論時学習データを盗むモデルの応答から、学習データに含まれる個人情報を引き出す

汚染されたモデルはふだんの入力には正しく答えるため、通常の精度テストでは見つけにくくなります。盗まれたモデルは、Adversarial Examplesを作るための下調べにも使われます。

狙いで2つに分けて覚える

  • 判断を狂わせる(完全性の侵害):データ汚染、モデル汚染、Adversarial Examples
  • 情報を盗む(機密性の侵害):モデル窃取、データ窃取

データ窃取は、プライバシーの侵害にも直結します。

対策とセキュリティ・バイ・デザイン

セキュリティ・バイ・デザインは、セキュリティを企画・設計の段階から組み込む考え方です。完成後に後付けすると手戻りが増え、費用もかさみます。まず脅威分析で「何を、何から守るか」をはっきりさせ、セキュリティ要件に落とし込みます。

攻撃対策の例
データ汚染データの収集元と加工の履歴を確かめ、真正性を確認できないデータは使わない
モデル汚染モデルや学習用プログラムを信頼できる提供元から入手し、改ざんを検知する
Adversarial Examples敵対的なデータを混ぜて学習し頑健性を高める、異常な入力を検知する
モデル窃取問い合わせの回数を制限する、確信度を細かく返さないなど出力を必要な範囲に絞る
データ窃取プライバシーを保護する学習手法を使う

ガイドラインも、AIの脆弱性は完全には排除できないとしています。運用中も監視を続け、問題が起きたときの対応手順を前もって決めておきます。

G検定で問われる深さ

ノイズの作り方や攻撃アルゴリズムの数式までは不要です。6つのキーワードを「いつ仕掛けるか(学習時か推論時か)」と「何を狙うか(判断を狂わせるか、情報を盗むか)」で分類でき、事例に合う対策を選べれば十分です。

つまずきやすい点

  • Adversarial Examplesは推論時の入力に細工する攻撃で、学習済みのモデルには手を加えない。学習データに不正なデータを混ぜるデータ汚染とは、仕掛ける時期が違う点
  • モデル窃取は、モデルのファイルを盗み出さなくても、APIへの問い合わせと応答を大量に集めるだけで似たモデルを作れてしまう攻撃で、確信度を細かく返すほど成功しやすくなる点
  • データ窃取は、保存されたデータを盗む従来の攻撃に限らず、学習済みモデルの応答から、学習データに含まれる個人情報などを推測したり引き出したりする攻撃も含む点
  • AIの脆弱性は完全にはなくせないため、対策は開発時だけで終わらず、運用中の監視と異常が起きたときの対応手順まで含めて考える点

シラバスのキーワード

Adversarial Attack(Adversarial Examples)、セキュリティ・バイ・デザイン、データ汚染、データ窃取、モデル窃取、モデル汚染

練習問題

  1. AIへの攻撃手法の区別
  2. AI提供時のセキュリティ対策
  3. 学習データを推測する攻撃
  4. 公開された学習済みモデルの汚染
  5. ブラックボックス型の敵対的攻撃
ほかの2問
  1. 間接プロンプトインジェクション
  2. LLMからの学習データ抽出

混同しやすい用語

AIで作成 人による確認:未 誤りを報告

出典と作成について

作成:ウカトレ編集部(AIで作成し、別のAIが一次資料と照合。手順は編集方針)

最終更新日: 最終確認日:

法令・ガイドライン等は2026年10月30日時点の内容にもとづきます。

対応シラバス:シラバス第1.4版 法律・倫理11

出典

改訂履歴

AI倫理・AIガバナンスの中項目
  1. 国内外のガイドライン
  2. プライバシー
  3. 公平性
  4. 安全性とセキュリティ
  5. 悪用
  6. 透明性
  7. 民主主義
  8. 環境保護
  9. 労働政策
  10. その他の重要な価値
  11. AIガバナンス

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