AIプロジェクトの進め方(シラバス 技術35)
学習目標
AIを業務に生かすために、課題の設定から検証、開発、運用までをどう進めるかを理解し、CRISP-DMやCRISP-ML、PoC、MLOpsといった進め方の枠組みと、体制づくりや社外との連携、開発や提供に使う道具の役割を、場面に応じて選べるようにします。
要点
よくある失敗から考える
「AIで何かできないか」から始めたプロジェクトは、作ったモデルが業務で使われずに終わりがちです。検証を繰り返すばかりで本番に進めない、運用後に精度が落ちる、という問題もよく起こります。AIプロジェクトの進め方は、こうした失敗を避けるための考え方と手順の集まりです。
課題から始める
AIのビジネス活用は、解決したい課題と、利用者・現場・経営層などのステークホルダーのニーズの整理から始めます。何がどれだけ良くなれば成功かを先に決め、AIを使わないほうがよい場合も検討します。導入にあわせて業務の流れを根本から作り直すBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を行うと、効果が大きくなることがあります。
進め方の枠組み
- CRISP-DM:ビジネスの理解、データの理解、データの準備、モデリング、評価、展開の6フェーズで進める標準プロセスです。順番は固定ではなく、必要に応じて前のフェーズに戻りながら進めます。
- CRISP-ML:CRISP-DMを機械学習向けに広げたものです。ビジネスとデータの理解を1つのフェーズにまとめ、運用後のモニタリングと保守のフェーズを加えました。各フェーズで品質を確かめます。
- PoC(概念実証):本格的な開発の前に、小さな規模で実現できるか、費用に見合うかを確かめます。期限と、次に進むか止めるかの基準を先に決めておきます。
- MLOps:機械学習モデルの開発と運用を一体で回す考え方です。本番ではデータの傾向が変わって精度が落ちることがあるため、監視、再学習、再デプロイを自動化して続けます。
開発の進め方には2つの型があります。
| 型 | 進め方 | AI開発での向き不向き |
|---|---|---|
| ウォーターフォール | 要件を最初に固め、設計から順に一方向に進める | 試すまで精度が分からないため、計画どおりに進めにくい |
| アジャイル | 短い周期で作って確かめることを繰り返す | 試行錯誤が必要なAIの開発と相性がよい |
体制と社外との連携
データサイエンティストは、統計や機械学習を使い、データから業務に役立つ知見を引き出す専門職です。業務の担当者やエンジニアと組んで進めます。社内に足りない技術やデータは、他企業や他業種との連携、大学や研究機関との産学連携で補います。社内と社外の知識や技術を双方向に行き来させて新しい価値を生む考え方を、オープン・イノベーションと呼びます。
開発と提供の道具
| 道具 | 何のためのものか |
|---|---|
| Python | 機械学習のライブラリが豊富で、AI開発で広く使われる言語 |
| Jupyter Notebook | コード、実行結果、メモを1か所に残しながら対話的に分析する道具 |
| Docker | アプリケーションを実行環境ごとコンテナにまとめ、Dockerが動く環境なら同じように動かせる仕組み |
| クラウド | GPUなどの計算資源を、必要なときに必要な分だけ借りる使い方 |
| Web API | モデルの機能を、ほかのシステムから通信で呼び出せるようにする窓口 |
G検定で問われる深さ
ツールの操作方法やコマンドは不要です。CRISP-DMのフェーズの順番と行き来、CRISP-MLで加わる運用後のフェーズ、PoCの目的と判断基準、MLOpsが必要な理由、各道具が何のためのものかを一言で言えれば十分です。
つまずきやすい点
- BPRは業務の流れそのものを根本から作り直す取り組みで、今の手順の一部をそのままAIに置き換えることとは違う点
- PoCで高い精度が出ても、本番のデータの量や質、運用の体制で同じ結果になるとは限らず、事前に決めた基準で次に進むか止めるかを判断する点
- モデルは本番に出したら完成ではなく、データの傾向が変わると精度が落ちるため、監視と再学習を続ける仕組み(MLOps)が必要になる点
- Dockerは実行環境ごとアプリケーションをまとめて同じ動作を再現する仕組み、Web APIは他のシステムから通信で機能を呼び出す窓口で、役割が違う点
シラバスのキーワード
AIのビジネス活用、AIプロジェクトの進め方、BPR、CRISP-DM、CRISP-ML、Docker、Jupyter Notebook、MLOps、PoC、Python、Web API、アジャイル、ウォーターフォール、オープン・イノベーション、クラウド、産学連携、ステークホルダーのニーズ、データサイエンティスト、他企業や他業種との連携
練習問題
混同しやすい用語
出典と作成について
作成:ウカトレ編集部(AIで作成し、別のAIが一次資料と照合。手順は編集方針)
最終更新日: 最終確認日:
対応シラバス:シラバス第1.4版 技術35
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版(技術分野 項目35 AIプロジェクトの進め方)2026年10月30日閲覧
- IBM SPSS Modeler CRISP-DM Guide(Chapter 1. Introduction to CRISP-DM)2026年10月30日閲覧
- Stefan Studer et al., Towards CRISP-ML(Q): A Machine Learning Process Model with Quality Assurance Methodology, Machine Learning and Knowledge Extraction 3(2), 392–413 (2021)2026年10月30日閲覧
- D. Sculley et al., Hidden Technical Debt in Machine Learning Systems, Advances in Neural Information Processing Systems 28 (2015)2026年10月30日閲覧
- Michael Hammer, Reengineering Work: Don't Automate, Obliterate, Harvard Business Review (1990)2026年10月30日閲覧
- Henry Chesbrough, Open Innovation: The New Imperative for Creating and Profiting from Technology, Harvard Business School Press (2003)2026年10月30日閲覧
- Docker Docs, What is Docker?2026年10月30日閲覧
- Project Jupyter2026年10月30日閲覧
AIの社会実装に向けての中項目
- AIプロジェクトの進め方
- データの収集・加工・分析・学習